成年後見人による不動産売却を検討中のあなたへ
意外な落とし穴をご存じですか?
成年後見人が関与する不動産売却は、通常の売却とは異なり家庭裁判所の許可が必要です。しかし、必要書類の準備が複雑…裁判所の審査に通るか不安…と悩んでいませんか?さらに、売却後の税金や報酬の計算ミスで予想外の出費が発生するケースも少なくありません。
後から多額の税金を支払う羽目に…そんな後悔をしないためにも、正しい知識を身につけることが重要です。
成年後見制度を活用しながら、最も適切な形で不動産を売却するために――。今から詳しく解説していきます。
株式会社アイホームは、不動産売買・仲介・賃貸管理を主な業務として、お客様の多様なニーズにお応えしております。特に不動産売却においては、経験豊富なスタッフが物件の査定から売却活動、契約手続きまで丁寧にサポートいたします。また、税理士や司法書士、ファイナンシャルプランナー、相続診断士とも連携し、税務や法律に関するご相談にも対応可能です。お客様の大切な資産の売却を安心してお任せいただけるよう、全力でサポートいたします。
株式会社アイホーム | |
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住所 | 〒657-0029兵庫県神戸市灘区日尾町1丁目2-9 |
電話 | 078-200-5533 |
成年後見人が不動産を売却できる条件とは?
成年被後見人の財産管理と制約
成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が低下した方を保護するための制度です。成年後見人は、この制度のもとで、被後見人の財産管理や法律行為の代理を行う役割を担います。
成年被後見人の財産管理は、成年後見人の重要な業務の一つですが、財産の管理や処分には厳格なルールがあり、勝手に処分することはできません。
成年後見人が管理できる財産の範囲
成年後見人は、成年被後見人の名義で保有する以下の財産を管理することができます。
- 現金・預貯金:銀行口座の管理、必要経費の支払い
- 不動産:住居用・投資用不動産の管理
- 有価証券:株式・投資信託などの運用・売却
- 年金受給権:本人に代わり年金を受給
ただし、すべての財産を自由に処分できるわけではなく、成年被後見人の生活や利益を守るための使用に限られます。
財産管理における制約と裁判所の関与
成年後見人には財産管理の制約があり、特に以下のような財産処分には家庭裁判所の許可が必要となります。
項目 | 許可の要否 |
預貯金の引き出し | 不要(ただし適切な使途であることが前提) |
成年被後見人の生活費支払い | 不要 |
高額な医療費支払い | 不要 |
不動産の売却 | 必要 |
投資用不動産の売却 | 必要 |
財産の贈与・寄付 | 原則禁止 |
成年後見人が売却できる不動産の種類と条件
成年後見人が売却できる不動産は、基本的に成年被後見人が所有するすべての不動産が対象となります。ただし、売却の可否や手続きには条件があります。
売却可能な不動産の種類
不動産の種類 | 売却の可否 | 裁判所の許可 |
居住用不動産 | 可能 | 必要 |
相続不動産 | 可能 | 必要 |
投資用不動産 | 可能 | 必要 |
共有不動産 | 可能 | 共有者の同意+家庭裁判所の許可 |
親族から贈与された不動産 | 原則不可 | 許可があれば可 |
売却条件と裁判所の審査基準
成年後見人が不動産を売却する際、家庭裁判所の許可が必要となりますが、その際には以下のような点が審査されます。
- 売却の必要性:成年被後見人の生活費確保や施設入所のためなど、合理的な理由があるか
- 売却価格の適正性:市場価格に基づいた適正な売却価格であるか
- 成年被後見人の利益保護:売却後の財産管理や生活に問題がないか
- 共有不動産の場合:他の共有者の同意が得られているか
特に、市場価格を下回る価格での売却は、成年被後見人の不利益と判断される可能性があり、裁判所の許可が下りないことがあります。
成年後見人ができること・できないこと
成年後見人には、法律で定められた範囲での権限が与えられていますが、すべての財産管理や契約が自由にできるわけではありません。以下に成年後見人ができること・できないことを整理します。
成年後見人ができること
- 成年被後見人の不動産管理・売却(裁判所の許可が必要)
- 預貯金の管理・引き出し
- 契約の代理(賃貸契約、売買契約など)
- 施設入所契約や医療契約の締結
成年後見人ができないこと
- 成年被後見人の財産を勝手に使う
- 成年被後見人の財産を贈与する
- 成年被後見人の遺言書を作成する
- 不当な低価格で不動産を売却する
成年後見人の行動はすべて成年被後見人の利益を最優先とする必要があり、裁判所の監督のもとで行われます。
成年後見人による不動産売却の流れ
成年後見人が不動産売却を開始するまでの準備
売却手続きを進める前に、以下の準備を行うことが重要です。
- 不動産の現状把握
- 売却対象の不動産が居住用なのか投資用なのかを確認する
- 登記簿謄本を取得し、所有者の情報を確認する
- 過去の売買履歴やローンの残債がないかチェックする
- 成年被後見人の利益を守る売却計画の作成
- 売却の必要性を明確にする(例:介護施設入居のための資金確保など)
- 売却価格の相場調査を行い、適正な売却価格を設定する
- 売却後の財産管理や成年被後見人の生活費の確保について計画を立てる
- 家庭裁判所への申請準備
- 必要書類を整える(後述する「家庭裁判所への申請方法と審査基準」を参照)
- 司法書士や弁護士に相談し、適切な売却手続きを確保する
売却プロセスの全体像
ステップ | 内容 | 補足 |
1. 売却計画の策定 | 不動産の現状確認、価格査定 | 成年被後見人の利益を最優先 |
2. 家庭裁判所へ許可申請 | 必要書類を整え、申請を行う | 許可が下りるまで売却できない |
3. 許可取得 | 裁判所の審査を通過 | 期間は1ヶ月~3ヶ月が目安 |
4. 買主の募集・売買契約 | 不動産会社を通じて買主を探し契約を締結 | 売却価格は市場価格に準ずる必要あり |
5. 決済・引き渡し | 契約後、残金を受け取り、登記変更 | 司法書士が手続きを担当 |
このように、成年後見人が不動産を売却する際には慎重な準備が求められます。
家庭裁判所への申請方法と審査基準
成年後見人が不動産を売却する際には、家庭裁判所の許可が必要です。許可を得るためには、適切な手続きを踏むことが求められます。
許可が下りるまでの期間の目安
裁判所の許可が下りるまでの期間はケースによって異なりますが、一般的には1ヶ月から3ヶ月程度かかります。
許可取得にかかる期間の一般的な目安
許可申請の状況 | 許可までの目安期間 |
書類不備なし | 約1ヶ月 |
追加資料の提出が必要 | 約2ヶ月 |
特殊な事情がある場合(異議申し立て等) | 3ヶ月以上 |
許可が早まる・遅れる要因
- 早まる要因
- 申請書類が完全に整っている
- 適正価格での売却が明確になっている
- 成年被後見人の利益が明確に証明されている
- 遅れる要因
- 申請書類に不備がある
- 売却理由が不明確である
- 成年被後見人の親族から異議申し立てがある
許可が下りるまでの期間は事前に想定しておくことが重要です。
成年後見人が不動産売却を行う際の必要書類と準備するもの
許可申請時に必要な主要書類
成年後見人が不動産を売却する際には、家庭裁判所の許可を得る必要があります。そのため、裁判所へ提出すべき書類を正しく準備することが求められます。提出する書類は裁判所の管轄によって異なることもあるため、事前に確認することが重要です。
以下の書類は、不動産売却の許可を得るために基本的に必要とされるものです。
書類名 | 内容 | 取得先 |
許可申立書 | 売却の必要性、売却価格、後見人の情報を記載する | 家庭裁判所 |
売買契約書案 | 売却条件、売却価格を示す | 不動産会社が作成 |
不動産の登記事項証明書 | 対象不動産の所有権などを確認するため | 法務局 |
固定資産評価証明書 | 売却価格の妥当性を示すための評価額 | 市区町村役場 |
成年後見人の身分証明書 | 成年後見人としての身分を証明するため | 市区町村役場・家庭裁判所 |
財産目録 | 成年被後見人の全財産をリスト化したもの | 成年後見人が作成 |
これらの書類を正しく準備し、裁判所に提出することで許可申請のスムーズな進行につながります。
裁判所によって異なる提出要件
家庭裁判所ごとに提出書類のフォーマットや追加資料が異なる場合があります。以下の点に注意してください。
- 提出書類の記載方法:裁判所ごとに異なる指定があるため、必ず確認する
- 追加の提出資料:特定の事情がある場合(後見人が複数いる、相続人が多いなど)には追加資料が必要になることがある
- オンライン申請の可否:一部の裁判所では、オンライン申請が可能な場合もある
成年後見人の身分証明書・登記事項証明書の取得方法
成年後見人が不動産を売却する際には、本人が成年後見人であることを証明する書類の提出が求められます。
必要書類の取得方法と手続きの流れ
以下は、成年後見人としての身分証明書や登記事項証明書を取得するための一般的な流れです。
- 身分証明書の取得
- 市区町村役場で「成年後見登記事項証明書」を取得
- 発行手数料が必要(300円~500円程度)
- 登記事項証明書の取得
成年後見人が代理で取得する際の注意点
成年被後見人に代わって書類を取得する場合、以下の点に注意が必要です。
- 家庭裁判所の許可が必要な場合がある
- 委任状が求められる場合がある
- 正当な理由がないと代理取得は認められない
これらの手続きをスムーズに進めるため、事前に関係機関へ確認しておくことが推奨されます。
売買契約に必要な不動産関連書類
不動産を売却する際には、売買契約書を含むいくつかの書類を用意する必要があります。
契約締結時に必要な書類リスト
書類名 | 内容 | 取得先 |
売買契約書 | 売買条件を明記 | 不動産会社が作成 |
売主の身分証明書 | 売主(成年後見人)の身分確認 | 市区町村役場 |
権利証(登記済権利証) | 不動産の所有権を証明 | 不動産の登記名義人 |
固定資産税納税通知書 | 税金の支払い状況を確認 | 市区町村役場 |
売主として成年後見人が用意すべき書類
成年後見人が売主となる場合、通常の売買契約と異なり、以下の追加書類が必要になります。
- 成年後見人の身分証明書(家庭裁判所が発行)
- 家庭裁判所の売却許可書(売却の正当性を証明)
- 成年被後見人の財産目録(裁判所へ提出したものと同じ内容)
成年後見人は、通常の不動産取引以上に慎重な書類準備が求められます。
成年後見人の証明書類とその作成方法
成年後見人として不動産売却を進めるためには、裁判所へ提出する各種証明書の作成も重要です。
成年後見人であることを証明するための書類
書類名 | 内容 | 取得先 |
成年後見登記事項証明書 | 成年後見人の権限を証明 | 市区町村役場 |
成年被後見人の診断書 | 成年後見の必要性を示す | 医療機関 |
成年後見人の財産管理報告書 | 収支状況を明示 | 成年後見人が作成 |
証明書類の適切な記入方法
証明書類の記入には、以下の点に注意してください。
- 誤記がないか慎重にチェックする(修正液の使用は禁止)
- 事実に基づいた正確な記述を行う
- 記載内容に不明点がある場合は司法書士に相談する
成年後見人が行う不動産売却は、通常の取引と比べて複雑な手続きが必要です。適切な書類を整え、スムーズに進めるためには、事前の準備が不可欠です。
成年後見人が不動産を売却する際の注意点
売却価格の適正評価と価格設定のポイント
不動産の売却では、市場価格を正しく把握し、適正な価格設定を行うことが重要です。特に成年後見人が売却する場合、適正な価格であることを証明する必要があり、以下の点を考慮しながら価格設定を進めることが求められます。
1. 不動産鑑定士による評価
成年後見人が不動産を売却する際、価格が適正であることを証明するために、不動産鑑定士による評価を受けることが推奨されます。市場価格と相場を適正に判断するために、専門家の意見を取り入れることが望ましいでしょう。
2. 複数の不動産会社に査定を依頼
不動産鑑定士の評価だけでなく、複数の不動産会社に査定を依頼し、市場価格の相場を把握することも大切です。査定額の平均を参考にしながら、売却価格の目安を決めると良いでしょう。
3. 家裁の許可を取得
成年後見人が不動産を売却するには、家庭裁判所の許可が必要です。売却の目的が被後見人の利益に適うものであることを示し、適正な価格での売却であることを証明するために、鑑定書や査定書を添えて申請します。許可が下りるまでには時間がかかることもあるため、余裕を持って手続きを進めましょう。
売却後の資産管理と財産の適切な運用
不動産の売却後、得た資金をどのように管理し、被後見人の生活に役立てるかも成年後見人の重要な役割です。適切な資産管理と運用を行い、被後見人の生活を守るために、以下の点に留意しましょう。
1. 預貯金口座での管理
売却代金は成年後見人の個人口座ではなく、被後見人の名義で管理する必要があります。特定の金融機関の後見制度対応口座を利用すると、管理がしやすくなります。
2. 生活費や医療費への充当
売却資金は、被後見人の生活費や医療費として適切に活用することが求められます。被後見人の生活状況に応じて、計画的に資金を管理しましょう。
3. 投資運用には慎重に
売却資金を投資に回すことは、原則として認められていません。リスクのある金融商品への投資は避け、預貯金や定期預金など、安全性の高い方法で管理することが望ましいです。
4. 定期的な報告義務
成年後見人は、被後見人の財産管理について家庭裁判所へ定期的に報告する義務があります。売却資金の用途を明確にし、適切な管理を行っていることを示すために、記録をしっかりと残しておきましょう。
家族間トラブルを防ぐための対策
成年後見人が不動産を売却する際、親族間でのトラブルが発生することもあります。特に、相続が関係するケースでは、後の紛争を避けるために適切な対応が必要です。
1. 売却の必要性を親族と共有
成年後見人が不動産を売却する際、親族間で情報を共有し、売却の必要性について理解を得ることが大切です。財産処分について親族が納得できるよう、具体的な理由を説明しましょう。
2. 透明性のある手続きを実施
売却価格の決定プロセスや、売却後の資産管理について、透明性を持って進めることが重要です。可能であれば、親族にも情報を開示し、信頼関係を築くことが望ましいです。
3. 弁護士や専門家の意見を活用
家族間の意見が対立する場合は、弁護士や成年後見の専門家に相談し、中立的な意見を得ることが有効です。客観的な立場からの助言を受けることで、円滑に手続きを進められる可能性が高まります。
4. 家庭裁判所の判断を仰ぐ
万が一家族間で合意が得られない場合、家庭裁判所に相談し、適切な指示を受けることも選択肢の一つです。裁判所の判断を基に手続きを進めることで、後のトラブルを防ぐことができます。
成年後見人が不動産売却をスムーズに進めるためのポイント
専門家(弁護士・司法書士・不動産会社)との連携方法
成年後見人が不動産を売却する際には、法律や契約に関する専門的な知識が求められます。そのため、弁護士、司法書士、不動産会社などの専門家と連携し、適切に進めることが重要です。
1. 弁護士との連携
成年後見制度の運用や、不動産売却に関する法的なリスクを避けるため、弁護士のサポートを受けることが有効です。弁護士に依頼することで、契約内容のチェックやトラブル回避のためのアドバイスを得ることができます。
2. 司法書士との連携
不動産売却には、登記の変更や書類作成が必要になります。司法書士は、登記の手続きや家庭裁判所への申請などをサポートする専門家であり、スムーズな売却のために不可欠な存在です。
3. 不動産会社との連携
適正な価格での売却を実現するためには、不動産会社との連携も重要です。複数の不動産会社に査定を依頼し、適正な市場価格を把握することで、後々のトラブルを防ぐことができます。また、売却活動を円滑に進めるために、経験豊富な不動産会社を選ぶことが望ましいでしょう。
早めに準備すべき書類と手続き
成年後見人が不動産を売却するには、多くの書類を準備する必要があります。手続きをスムーズに進めるために、早めの準備が大切です。
1. 必要な書類
不動産売却に必要な主な書類は以下のとおりです。
- 登記事項証明書(登記簿謄本): 不動産の所有者や権利関係を確認するために必要
- 固定資産税評価証明書: 不動産の評価額を示す書類
- 成年後見登記事項証明書: 成年後見人であることを証明する書類
- 家庭裁判所の許可書: 成年後見人が不動産を売却する際には、家庭裁判所の許可が必要
2. 手続きの流れ
- 不動産の査定を依頼
- 複数の不動産会社に査定を依頼し、適正な価格を把握する。
- 家庭裁判所に売却許可を申請
- 被後見人の利益を守るため、家庭裁判所の許可が必要。
- 売買契約の締結
- 売却許可が下りた後、買主と売買契約を締結する。
- 登記変更手続き
- 司法書士に依頼し、所有権移転登記を行う。
- 売却代金の管理
- 売却代金を適切に管理し、被後見人の生活費や医療費に充てる。
成年後見人としての責任とリスク管理
成年後見人には、被後見人の財産を適切に管理する責任があります。不動産売却においても、その責任を果たすためのリスク管理が求められます。
1. 売却価格の適正性を確保
成年後見人が不動産を売却する際、適正な価格で売却することが求められます。不当に安い価格で売却すると、被後見人にとって不利益となるため、慎重に価格設定を行いましょう。
2. 売却代金の適正な管理
売却で得た資金は、被後見人の生活や医療費に充てることが原則です。個人的な用途に流用することは許されず、適正な管理を行う必要があります。
3. 親族とのトラブル回避
成年後見人による不動産売却は、親族間でのトラブルを招くことがあります。事前に親族と情報を共有し、売却の必要性や手続きについて理解を得ることが大切です。
4. 家庭裁判所への報告
成年後見人は、家庭裁判所に財産管理の状況を定期的に報告する義務があります。不動産売却に関する記録をしっかりと残し、適正な手続きを行っていることを証明できるようにしましょう。
成年後見人の不動産売却でよくあるトラブルと対策
裁判所の許可が下りないケースとは?
成年後見人が不動産を売却する際には、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。特に、家庭裁判所の許可が下りないケース、親族間での意見対立、買主との契約トラブルなどが主な問題となります。これらのリスクを避けるためには、事前の準備と適切な対処が必要です。成年後見人が不動産売却を行う際に遭遇しやすいトラブルとその対策について解説します。
成年後見人が不動産を売却するには、家庭裁判所の許可が必要ですが、申請が却下される場合があります。その理由として、以下のようなケースが考えられます。
1. 売却の必要性が認められない
家庭裁判所は、売却の目的が被後見人の利益につながるかどうかを厳しく審査します。売却資金の用途が不明確な場合や、単に後見人の都合による売却と判断されると、許可が下りない可能性があります。
対策:
- 売却理由を明確にし、被後見人の生活費や医療費として必要であることを証明する。
- 専門家(弁護士や司法書士)に相談し、適切な申請書を作成する。
2. 売却価格が適正でない
市場価格に比べて極端に安い価格での売却は、被後見人にとって不利益となるため、家庭裁判所が認めないことがあります。
対策:
- 不動産鑑定士や不動産会社に査定を依頼し、市場価格を反映した適正な価格で売却する。
- 裁判所に提出する際、複数の査定結果を添付する。
3. 手続きに不備がある
必要な書類が不足している場合や、申請内容に誤りがあると、許可が下りないことがあります。
対策:
- 売却に必要な書類を事前に確認し、漏れがないよう準備する。
- 司法書士や弁護士の助言を受けながら申請手続きを進める。
親族間の意見対立と対処法
成年後見人が不動産を売却する際には、親族間で意見が対立することがあります。特に、財産分与や売却の是非をめぐってトラブルになるケースが多く見られます。
1. 相続に関する意見の違い
将来的な相続を考え、売却に反対する親族がいる場合、スムーズな売却が難しくなることがあります。
対策:
- 売却の目的が被後見人の生活費確保であることを親族に丁寧に説明する。
- 必要に応じて弁護士や第三者を交えた話し合いを行う。
2. 成年後見人の判断に対する不信感
後見人が特定の利益を得ようとしているのではないかと疑われることもあります。
対策:
- 売却価格や手続きを透明化し、適正に進めていることを証明する。
- 家庭裁判所の許可を得た後に売却を進めることで、公正性を担保する。
3. 家族間のコミュニケーション不足
情報共有が不足していると、不要な誤解が生じ、親族間の対立が深まることがあります。
対策:
- こまめに親族へ報告し、必要な情報を共有する。
- 書面での説明や記録を残し、後から説明できるようにする。
買主との契約トラブルを防ぐポイント
不動産売却では、買主との契約上のトラブルが発生することもあります。特に、契約条件の不備や引き渡し後のクレームなどが問題となります。
1. 契約内容の不備
契約書の内容が不明確であったり、重要な条件が抜けていたりすると、トラブルの原因となります。
対策:
- 契約書は弁護士や司法書士にチェックしてもらい、法的に適正なものにする。
- 売却条件や引き渡し時期、支払い方法などを明確に記載する。
2. 売却後のトラブル
売却後に、買主から「設備の不具合」や「契約内容と異なる」といったクレームが発生することがあります。
対策:
- 事前に物件の状態を詳細に確認し、問題があれば修繕や説明を行う。
- 契約時に物件の現状を正確に伝え、後からトラブルにならないようにする。
3. 買主の資金問題
買主が住宅ローンの審査に通らず、契約が破談になることもあります。
対策:
- 事前に買主の資金計画を確認し、住宅ローン審査が通りやすいかどうかをチェックする。
- 必要に応じて手付金の額を調整し、契約の確実性を高める。
成年後見人が不動産を売却する際には、裁判所の許可取得、親族間の意見調整、買主との契約管理といった課題を慎重に進める必要があります。売却の必要性を明確にし、専門家と連携しながら手続きを適正に進めることで、トラブルを回避し、スムーズな売却を実現できます。成年後見人としての責任を果たしながら、被後見人の利益を最優先に考えた対応を心掛けましょう。
まとめ
成年後見人による不動産売却は、一般の売却手続きとは異なり、家庭裁判所の許可が必要となります。さらに、売却にかかる税金や手数料、成年後見人の報酬、裁判所の審査基準など、多くの専門的な知識が求められます。そのため、適切な準備を怠ると、予想外の費用が発生したり、裁判所の許可が下りずに売却が進められなかったりする可能性があります。
不動産売却時には譲渡所得税、固定資産税、印紙税などの税金が発生し、控除制度を活用することで税負担を軽減することが可能です。また、成年後見人の報酬は、売却の内容や裁判所の審査によって異なり、適正な報酬を得るためには、正しい申請手続きが必要です。加えて、仲介手数料や登記費用といった諸費用を事前に把握し、不要なコストを削減する工夫も求められます。
裁判所の報酬審査においては、売却の必要性や後見人の管理能力が問われるため、書類の不備や手続きのミスがあると審査が長引くこともあります。さらに、売却後の資金管理も重要で、成年被後見人の利益を最優先とした運用が求められます。適切な資産管理を行わなければ、後々のトラブルにつながるリスクもあるため、慎重な対応が必要です。
成年後見人による不動産売却は、通常の売却よりも複雑ですが、適切な準備を行い、必要な手続きを正確に進めることで、スムーズな売却が可能になります。税金や費用、報酬の計算方法を正しく理解し、裁判所の審査基準を満たすための対策を講じることが重要です。この記事を参考にしながら、最善の売却手続きを進めてください。
株式会社アイホームは、不動産売買・仲介・賃貸管理を主な業務として、お客様の多様なニーズにお応えしております。特に不動産売却においては、経験豊富なスタッフが物件の査定から売却活動、契約手続きまで丁寧にサポートいたします。また、税理士や司法書士、ファイナンシャルプランナー、相続診断士とも連携し、税務や法律に関するご相談にも対応可能です。お客様の大切な資産の売却を安心してお任せいただけるよう、全力でサポートいたします。
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よくある質問
Q. 成年後見人が不動産を売却する際、家庭裁判所の許可が下りるまでの期間はどれくらいかかりますか?
A. 成年後見人が不動産売却を行うには家庭裁判所の許可が必要となります。許可が下りるまでの期間は、一般的に1か月~3か月が目安ですが、申請内容や裁判所の混雑状況によっては6か月以上かかるケースもあります。特に、売却の必要性が明確でない場合や、成年被後見人の意思確認が難しいケースでは審査が長引く可能性が高いため、できるだけ早めに申請し、必要書類を完備しておくことが重要です。
Q. 成年後見人が売却後の収益をどのように管理すべきですか?
A. 成年後見人が不動産売却後の収益を管理する際には、成年被後見人の利益を最優先に考える必要があります。売却代金は後見人名義の口座ではなく、成年被後見人の専用口座に振り込まれることが原則です。資金の運用については、家庭裁判所の監督のもとで、安全性の高い定期預金や国債などを利用することが推奨されます。また、売却代金の使途については定期的に裁判所へ報告し、被後見人の医療費・施設入居費用・生活費などに適切に充当することが求められます。不適切な運用や管理ミスが発覚した場合、成年後見人の解任や法的責任が問われることもあるため、慎重な対応が必要です。
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